北部タイプロジェクト 2018年

北部タイ地域ツアーと学生の国際交流チュラロンコン大学と中央大学の学生と指導教員による北部タイ・プロジェクトが、OCA の支援により実施された。両大学の学生と教員からなるチーム総勢21 名は、タイ北部の2 都市のチェンマイ大学とメーファールアン大学(MFU)を訪問し、交流を行った。

北部タイ地域は、メコンデルタ経済圏の国境沿いの地域にあり、貧困問題を抱えながらも進展する国境貿易が注目されている。首都バンコクへの一極化した経済社会とは異なるこの地域の国境経済の実態を学ぶプロジェクトとなった。訪問先の大学の経済学部を訪問し、特別講義を受けたのちは、現地学生との交流を行った。加えて、この地域の恵まれない子供たちを保護する施設を二か所訪問した。それぞれの施設において、施設の子供と学生同士の活発な交流で盛り上がった。

チェンライのMFU は、20 年前に設立された広大なキャンパスに美しい施設を配した素晴らしい大学で、国境の街に立地する特色ある教育カリキュラムを備えている。

MFUの学生と一緒に郊外にある児童養護施設の「メーコック」を訪問した。
ここは麻薬中毒で亡くなった親のいない子供らが暮らす施設であり、この施設の設立に携わった一人である戸邊先生より、北部タイの少数民族の歴史や生活の実態などについての話を聞いた。

夜は、子供たちと「コムロイ」を夜空にあげたり交流が夜遅くまで続いた。

この地域では、ミャンマーと隣接する国境の町メーサイ郡を訪問した。
歩いて国境の橋を渡りミャンマーに入国。ミャンマー側の国境の街を見学しタイに再び戻り、この地域に生活する人々が利用する市場を見学したのち、麻薬とその撲滅活動の歴史を学ぶために「麻薬博物館」を見学した。

麻薬取引で名を馳せた、タイとミャンマーとラオスが交わる「ゴールデン・トライアングル」へ向かった。

その夜はリゾートホテルの「インペリアルホテル」に宿泊。

次の訪問先であるチェンマイには5時間半をかけてバスで移動。
訪れた「チェンマイ大学」では経済学部のチャラック教授による「タイ経済の一極集中と北部地域経済の活路について」の講義を聴講した。

セミナー後は「チェンマイ大学」の学生を伴い郊外に移動し、HIVに母子感染した孤児や両親が亡くなった子供たちが暮らす施設である「バーンロムサイ」を訪問。整然とした明るい環境の中で子供たちが生活する孤児院である。現在ではこの施設の図書館には、地域の子供たちも訪れ、利用している。

この施設の経費を補うために開設されたホテル「hosihjana village」に宿泊。自然に囲まれ、幾つものロッジが立ち並ぶ。

チェンマイ大学生を交えての交流が夜遅くまで続いた。

チュラロンコン大学と中央大学の「北部タイツアー」のチームは11月3日、バンコクへ戻り「さよならパーティ」を行なった。その夜は両大学の学生たちの歌とダンスはいつまでも続いた。

タイの大学生との今後の交流には側面からの協力を惜しまないが、引き続きOCAによる交流の支援を期待したい。このツアーに参加した両国の学生諸君が、卒業後も国境を越えて、人と人がつながる大切さを理解し続けることを願うばかりである。(中央大学経済学部教授 長谷川 聰哲)

プロジェクト参加者

Chuo University

Chulalongkorn University