タイ北部の児童養護施設支援プロジェクト

OCAは、2013年からチェンライにある、児童養護施設メーコック財団と、チェンマイにあるHIV感染孤児を中心に受け入れる孤児院バーンロムサイに毎年、寄付を行なっている。子ども達の成長の一助となるプロジェクトへの寄付の他、実際に日タイの大学生やアジアンビート参加者が同施設を訪問して、現地の様々な事情や問題を学び、子ども達との交流を続けている。北部タイの素晴らしい自然風土と子ども達の笑顔に触れることができる人気の訪問プロジェクトとなっている。

メーコック財団への支援

メーコック財団は、現在の代表アヌラック チャイスリンさんの夫である故ピパット チャイスリン氏が当時聖学院中学校高等学校教諭であった戸邉治朗先生と麗澤大学の竹原茂教授と一緒にタイや海外の学生や社会人にチェンライの農村や山岳民族を訪問し、暮らしを体験する「スタディーツアー」を開催することから始まった。当時のタイ北部の現状を学ぶなかで、麻薬、貧困、売春、教育などの問題が出てきた。中でも麻薬栽培が昔から行なわれていたことから麻薬中毒は深刻な問題で、多くの二次的な問題を引き起こしていた。

その後、ピパット氏は麻薬中毒のリハビリ施設を作り、村の麻薬中毒の根絶をめざし活動を始め、活動は実を結び、タイ政府に引き継がれた。麻薬のない社会を作るには、子ども達への教育が大事であるという考えに至った。当時、村の多くの子どもの保護者は、薬物中毒で亡くなったり、収監されたりして、親のいない子どもが多くみられた。その子ども達は親類の家などに預けられていたが十分な食べ物や衣類、教育が受けられない子も多くみられた。そうした状況の子ども達を預かり生活をともにして学校に通わせ、少しずつ施設を増やして行き、メーコック財団という現在の形態になった。

現在は、8歳から17歳までの子どもが19人入寮している。最近は前述の薬物関連で親がいない子のほか、ネグレクト(育児放棄)や、親の離婚や出稼ぎなどで親の養育が受けられない子も引き受ける。アヌラックさんと他のスタッフが世話をしている。近年は農業プロジェクトで自給自足のための食育などに力を入れている。

OCAでは、2013年から毎年40万円の寄付を送り、アジアンビート、北部タイプロジェクトで年2回メーコックを訪問している。数年前から寄付金40万円は農業プロジェクトの支援に充てられている。自給自足の食育を教えるプロジェクトで指導するスタッフとともに土地を開墾し畑にしたり、果樹を植えたり、できた作物でクッキーや菓子パンを製造して販売をしている。

2019年のメーコックへの支援活動

アジアンビートプロジェクトでメーコックに3泊し、北部タイでも1泊2日滞在して子供達と歌やダンスの交流を行ない、食事を一緒に楽しんだ。ちょうどローイクラトンのお祭りの時期だったのでコック川に灯籠を流し、コムロイを上げ、ローイクラトンのお祭りを満喫した。

その時アヌラックさんから、「タイの景気が悪くなり、実業家の方からの毎年の寄付金50万円が打ち切られた。このまま行くとメーコックの経営が続けられないかも」と聞いたので、これは大変だ!ということで12月からOCAの皆さんに寄付をお願いしたところ、温かい寄付が寄せられた。寄付は、皆様からの寄付、チャリティーダンス教室、Tシャツの販売で合わせて63万円が集まった。

チャリティーダンス教室は星野桃子さんの発案で東京と大阪で行なわれ、東京は20人、大阪30人の参加者が寄付して下さった。Tシャツの販売はアヌラックさんがデザインしたTシャツをコモンビートの東京公演で50着販売し、売上を寄付してもらった。

2020年1月10日に、寄付金を肥沼哲也さんがメーコックに持参してアヌラックさんに手渡した。

2020年のメーコックへの支援活動

コロナ禍で大変な1年になった。タイでも非常事態宣言が発出され、世界中の人が自由に海外旅行ができなくなったことで、収入の柱である研修宿泊やキャンプなどの場所貸しができなくなったため、収入の目途が立たずメーコック財団の存続が危機的状況になった。
OCAではアヌラックさんとメーコックが存続できるよう協議を重ねた。

毎年の寄付(農業プロジェクト)40万円のほか、個人寄付が30万円到達した場合にマッチングドネーションでMRAハウスからも30万円の上乗せ寄付を頂く了承を得た。個人寄付は、OCAメンバーやコモンビート、OCAメンバーの古くからの友人である森文男さんが主催するセミナー法人会社 Make a Difference の皆さんにもご協力頂き多くの寄付を送ることができた。重ねて皆さんにお礼申し上げたい。寄付の額は、以下の通り。

個人寄付 557,213円 
マッチングドネーション MRAハウス 30万円
合計 857,213円

寄付のお礼には、子供達の手書きのカードと自身の似顔絵に将来の夢を描き添えたものを送付した。もらった我々は温かな気持ちになった。サポーターの皆さんには、今後も見守ってあげたいなという、親戚のおじさんおばさんみたいな(お兄さんお姉さんもいますね)気持ちになって頂けたら嬉しい。

2020年の農業プロジェクトは、畑を新たに開墾して、タイで、人気の果実ドリアンの苗木を植えた。今回の寄付金のなかで、ガスオーブンなどのお菓子作りの機器を購入した。クッキーや菓子パンの製造能力が一気にあがった。施設を利用するセミナーの参加者への販売、チェンマイ、チェンライの人々には通信販売も行なっている。タイに渡航できるようになったら是非食べてみたい。

バーンロムサイへの支援

バーンロムサイは、1999年に名取美和さんによりチェンマイ郊外に設立されたHIVに母子感染した孤児の生活施設である。名取さんは友人でタイに住んでいたドイツ人医師を訪れタイに滞在した時に、ドイツ人医師のもとHIV感染者の看護を助ける事になった。ある日HIV感染者の女性が亡くなる前に名取さんの手を取って「私はこれから天国に行くので心配ないが、残された子供がすごく心配だ」と嘆いた。名取さんは「心配ない。私が面倒を見るから。」と約束して母親を看取った。その後チェンマイ郊外にHIV感染孤児を養育する孤児院バーンロムサイを設立した。当時タイでは、エイズが猛威をふるっておりたくさんの人が感染し、亡くなっていた。この病気により両親が亡くなった子ども、母子感染した子どもも多くいたことから30人の子どもを受け入れる生活施設を設立した。設立当初はエイズを発症し亡くなる子供も多かった。名取さん自身10人の子供を看取ることになった。現在では治療薬が普及して、普通の生活が送れるようになり、HIV母子感染も防げるようになった。現在バーンロムサイではHIV感染児童のほか、様々な事情で親と暮らすことが難しい児童も受け入れている。

バーンロムサイは、子どもたちの生活施設と同じ場所にあるコテージでの宿泊事業と、小物や洋服を製作する事業を営む現地法人と、タイバーンロムサイで生産された洋服や小物を販売した利益と日本国内で募集した寄付金をとりまとめ送金するNPO法人バーンロムサイジャパンからの寄付で運営されている。子供達が勉強だけでなく、アートやサッカーに興味をもってもらうように、日本からサッカー選手やアーティストが来て教えてもらうなどの様々な取り組みを行なっている。

図書館プロジェクト

OCAでは、2013年から図書館プロジェクトの運営に協力している。毎年40万円の寄付を行なっている。図書館は、バーンロムサイの子どもたちだけではなく、村の子供達の放課後の居場所になっている。 以前は地域のなかでHIV感染や孤児に対する差別偏見があり、バーンロムサイと子供達は孤立していたが、図書館を開放することにより、バーンロムサイの子ども達と地域の子ども達が一緒にイベントに参加したり、勉強したりすることにより相互理解が深まり、現在では地域のコミュニケーションの中心になったという。読書により知識が身につくだけでなく、パソコンを順番に使う、蔵書を大事に扱うなど公共ルールも身につく効果もあるようだ。

OCAの図書館プロジェクトへの寄付金は、新しい図書やDVDの購入だけでなく、読書感想文コンテストやタイの祝祭日をテーマにした作文や絵のコンテストの賞品の購入費、パソコンやプリンターの維持費、消耗品の購入など運営経費のサポートに充てられている。この施設を活用することにより、子ども達の教育の質が上がり、都市部と農村部の教育機会の差が解消される一助になるとよいと思う。子ども達の将来の夢も育める場所になってほしい。